アメリカのある調査によると、腰痛患者の8割以上は、運動不足からくる体の柔軟性と筋力の低下から腰痛を起こしているそうです。腰痛と特に深い関係にある腹筋と背筋がバランスよく発達していないときや、無理な姿勢をとったり動作をしたりするとき、しばしば椎間板ヘルニアなどの重症の腰痛を招くことになります。ですから運動不足の人ほど、日常生活のなかで腹筋や背筋を意識して使うように心がけましょう。
朝の目覚めのときなどに、寝床の上で行うのを習慣にしたいのが「猫のあくび体操」です。眠っている猫はこれから起き出そうという時に必ず伸びをしますが、あの気持ちよさそうな伸びやあくびをイメージしながら行う手軽な体操です。
両手と両膝をつけて床の上に四つんばいになり、両膝を肩幅に開きます。この姿勢から猫があくびをするように、首から腰にかけて思いきりそらします。5~10秒間この姿勢を維持したら、今度は両腕の間に頭を落とし、おなかに力を入れて背中をグーっと丸めます。ふだん使わずに衰えた腹筋がふるえるのが感じられるでしょう。回数にはこだわらず、心地よいと感じられる範囲で繰り返し行ってください。
(早稲田大学名誉教授 窪田 登)