体のどこかが悪くなると、別の場所に過緊張や知覚過敏などによって痛みがあらわれるのはよくみられる現象で、これを「反射」と呼んでいます。足のうらには体のすべての部分の病気や症状があらわれる反射区があります。慢性腰痛に悩んでいる人の場合は、土踏まずの内へりの辺りと、そこから横に小指側まで広がる幅5cmほどのゾーンに反射があらわれるケースが多く、この一帯を押すと痛みを感じます。腰がかたい人であれば、かたいしこりがあるのを発見するでしょう。
腰痛のある人は、足のうらの反射区をこぶしのとがったところや“健康ハンマー”などでたたくと、初めは飛び上がるほど痛く感じるはずです。しかしガマンして刺激をつづけていると、痛いけれども刺激が心地よく感じられるようになり、やがて痛みが消えていきます。反射区の痛みがやわらぐのに伴い、腰の痛みも軽くなるのです。
左右の足のうらをぴったりとそろえてみてください。土踏まずの内へりの部分は背骨の反射区で、その左右に腰の反射区が広がります。これを実際の腰の痛む場所と照らし合わせ、痛む場所に対応する反射区の点をさがして重点的にたたくようにしてください。右腰が痛いからといって右ばかりたたくのではなく、右足をたたいたら左足もたたくようにして、両足ともバランスよく刺激するのがコツです。1秒に1~2回の速さでトントントンとリズミカルにたたき、1日1~2回、1回につき3分ほどを目安にしましょう。ふろ上がりや就寝前に行えば、疲れがとれて腰が楽になります。
(漢方鍼灸艸寿堂院長 高橋永寿)