運動不足になると、まず低下するのが腹筋の力で、上体の加重などの負担が背筋に集中するため、背筋の過緊張による腰痛が起こってきます。また、腰への影響が案外大きいのが足の筋肉の衰えです。足の前後の筋肉がアンバランスになると姿勢がくずれ、腰痛の隠れた原因になるのです。腰痛にかかわるこれらの筋肉を短時間で効率よく鍛え、腰痛を改善するために考案されたのが、以下に紹介する3種類の腰痛体操です。
最初は「だるま体操」です。あおむけに寝た姿勢から膝を深く曲げ、両腕で膝をかかえます。この姿勢で揺りかごのように前後に体を1分ほど揺らします。いたって簡単な体操ですが、ちぢこまっている筋肉を伸ばし、衰えた腹筋を強化する効果があります。
次に股関節の違和感をとる体操を行います。うつぶせに寝た姿勢から手をついて腕を伸ばし、ゆっくり体をそらします。そらしきった姿勢で3~5秒ほど静止し、うつぶせに戻ります。そらしたとき目は上方を見るようにし、背筋や腹筋を意識的に伸ばすのがコツです。
最後は足の屈伸体操です。両足を肩幅に開いて立ち、ゆっくりとしゃがんだり立ったりを繰り返します。回数にはこだわらず、むしろしゃがんだときに前かがみにならず、なるべくかかとを浮かせずに行うのがコツです。次いで足を大きく開き、片側の膝を折って、反対の足の裏側の筋肉をよく伸ばします。これも疲れない範囲で左右交互に行います。
だるま体操だけなら1分、全部行っても5分程度ですみますので、毎日つづけたいものです。ただし、次のような場合は体操を始める前に専門家に相談をしてください。
(1)腰の痛みの強いとき
(2)脊椎の変形や椎間板の損傷のある場合
(3)血圧が非常に高いとき
(4)内臓機能が著しく低下しているとき
(5)体操を行うと腰が痛むとき
(日本カイロプラクティックドクター協会会長 森口和晃)