腰痛の多くは、背骨のゆがみに原因があります。腰椎が後方に弯曲(腰曲がり)していたり、反対に腰椎が前方にそり返りすぎている場合のほかに、もう一つ、背骨や骨盤の左右へのゆがみにも注意が必要です。
書類やノートもほとんどが横書きの現在、右ききの人であればノートなどをやや右上がりにおき、右肩のあがった姿勢で書いている人が多いのではないでしょうか。かばんを持つときも、手が疲れるので持ちかえることはあっても、かばんの中身が重くなるほど、きき腕の右手で持ち、重心のバランスをとるために右肩を上げる姿勢になりやすいものです。
このような姿勢のとき、まっすぐであるべき背骨は右に凸になってゆがんでいます。これを「右側弯」と呼んでいます。正しい姿勢を保つと意識していないと、この右側弯が日常生活のあらゆる場面でクセになりがちです。女性が横すわりをするとき、左に足を流す姿勢は右側弯を強めることになりますし、足を組んでいすにすわるとき、どちらか一方の足を上に組むクセがつくと、やはり右側弯になります。家でごろんと横になってテレビを見るとき、右手を手枕にした姿勢では、首が左に傾き、背骨は凸になっています。
こうした日常生活のなかで、程度の差こそあれ、右ききの人はほとんどといっていいほど背骨が右に側弯しています。背骨がゆがむと、背骨をとり囲む筋肉が不自然な緊張をしいられるため、こりや痛みを生じます。腰痛の6割が、このような背骨の右側弯を伴っているのです(少数派ですが、左ききの人などに左側弯が見られます)。畳の目などに沿ってうつぶせになりどなたかに見てもらうと、自分ではまっすぐに寝ているつもりでも、足がわずかに左へ流れていることが多いはずです。骨盤が右上がりに傾いているため、左足のほうが1~2cm長く見えるケースも少なくありません。
また、自分一人で背骨の側弯をチェックする方法もありますので、以下の「右側屈体操」を行ってみてください。
①両足を肩幅に開き、背筋を伸ばして立ち、左手を真上にあげ、右手を腰(骨盤のすぐ上)に当てる。
②腰に当てた右手を支えにして、口から息を吐きながら上体をゆっくり右側に曲げる。深く曲げた位置で静止し、3回深呼吸する。これを2分かけて5回繰り返す。
次に、体を同様にして左に曲げる、「左側屈体操」を行います。左に曲げやすければ右側弯で、右に曲げやすければ左側弯です。背骨の側弯が見つかったら、体を曲げにくいほうに曲げましょう。右側弯であれば、右側屈体操だけを行い、左に曲げる必要はありません。
無理に曲げようと力まず、右に深く曲げた姿勢で静止し、息を鼻から吸って口から吐き、ゆっくりと3回呼吸するのがコツです。5回曲げるのを1セットとして、毎日5セットずつ行えば、背骨や骨盤のゆがみがとれ、腰の痛みがグンと楽になってくるでしょう。
(渋谷カイロプラクティック院院長 甲木寿人)