慢性腰痛の大きな原因となるのが、姿勢の悪さです。背骨はS字状のゆるやかなカーブを描き、腰椎はやや前弯し、骨盤は前方に30度ほど傾いています。悪い姿勢とは、この自然な傾斜やカーブがくずれていることをいいますが、腰痛を訴える人では腰椎の前弯や骨盤の前傾が強まっている場合が多いのです。そこでおすすめしたいのが、いすにすわったまま行う「姿勢矯正体操」です。姿勢を正して腰椎のゆがみをとる体操で、とくに体がかたい人、筋肉や足の筋肉の衰えが自覚される人に効果的です。いずれの体操も、それぞれの動作を3~5回繰り返します。おりを見て、一つでも二つでも行うようにしてください。
(日本医科大学名誉教授 石田 肇)
(1)胸そらし
縮んだ腰や背中の筋肉を伸ばすための体操。いすに深く腰かけ、両手を腰に当ててからだを前に押し出すようにしながら、胸を張ってウーンと伸びをする。背筋を伸ばしながらゆっくりと息を吸い込むのがコツ。
(2)へそのぞき
前方に傾きすぎた骨盤の傾斜を減らす体操。両足を肩幅よりもやや大きく開き、おなかをへこませて背を丸め、おへそをのぞき込む。同時にゆっくりと息を吐くのがコツ。
(3)膝かかえ
股関節の動きをやわらかくし、腰椎の前弯を減らす体操。片足の膝を両手でかかえ、わきの下まで引き上げる。これを左右交互に行う。無理をせずに、膝頭をできるだけでわきの下近くまで引き寄せるのがコツ。
(4-1)上体おじぎ
(1)と同様に、縮んだ筋肉を伸ばす体操。
いすに浅く腰かけ、両腕を組んで、足を肩幅よりもやや大きく開く。
(4-2)上体おじぎ
深々とおじぎをするように、頭の重みで上体を前に倒し、体を丸める。ゆったりと大きく息を吐きながら体を倒すのがコツ。
撮影/森安照 スタイリング/澁谷美穂 ヘア&メイク/日高伸好
モデル/神成あゆみ 嵜山孔美子 衣装協力/ROXY