通勤時にはいている靴のかかとを見てください。前後左右に偏ってすり減っているならば、それは重心が偏った歩き方をしている証拠。腰椎は骨盤の上にのり、その骨盤は足で支えられているので、そんな歩き方をすれば、骨盤がゆがみ、腰椎にも影響します。(ただし、軽度に外側がすり減ってくるのは正常)。
女性はよく、かかとが折れそうなほど細くて高いハイヒールをはいていますが、こうした靴も腰痛の原因になります。かかとが持ち上がれば、おのずと下腹を前に突き出す姿勢になりますが、そのままだとそり返ってしまうので、胸から上はやや猫背になってバランスをとっています。この姿勢をスウェイバック(凹円背)といい、腰痛持ちの人には非常に多い姿勢です。デスクワークなどからくる腰痛を解消するのに、歩くことはたいへんよい方法ですが、靴しだいではかえって腰痛を悪化させることになります。そこで、腰痛を防ぐ靴選びのチェックポイントをあげておきましょう。
①靴を床においたとき、着地面積が広く安定している。
②ヒールがかかとの中心につき、左右のバランスがよい。
③縫製や接着がていねいにできている。
④靴に手を入れてみて、靴底に凹凸やシワがない。
⑤靴の先をたわめたとき、弾力が適度で、かたすぎない。
⑥ヒールの高さは3cm前後がいちばん疲れない。
⑦かかとから足幅の広い部分までが足にぴったりフィットし、つま先は足の趾を動かせるゆとりがある。実際に靴をはき、つま先で立ったりしゃがんだりしてみて、かかとが半分脱げたり、足が前にすべるような靴は失格。
⑧靴の折れ曲がる部分が足の趾のつけ根の位置にくる。
⑨足の甲がきつすぎたり、ひもが当たったりしない。
⑩くるぶしに当たらない程度に、靴底が深い。
⑪靴底に適度なクッションがある。
なお、人間の足は左右でサイズが微妙に異なるので、必ず両足ともはいて、はき心地を確かめるのがじょうずな靴選びのコツです。また、朝よりも夕方のほうが足はむくんで大きくなるので、午前中に靴を買うときは、多少ゆとりのあるものを選んでください。
(城南病院院長 石塚忠雄)