慢性腰痛に効くツボはおなかにもあります。慢性腰痛の多くを占めるのは、背中から腰にかけての筋肉の過緊張による筋肉性腰痛で、緊張した筋肉の血行が悪くなって疲労物質(老廃物)がたまり、その刺激が鈍痛を起こしています。腰を守る筋肉の働きは本来、背筋と腹筋が分担していますが、運動不足などにより腹筋がたるむと、背筋の負担がふえます。そこで腹筋を刺激して強化し、背筋とのバランスを回復すれば、慢性疲労は自然に解消するのです。
この刺激に有効なのが、「天枢(てんすう)」、「大巨(だいこ)」、「関元(かんげん)」というおなかのツボです。天枢と大巨は「胃経」という経路の上にあり、天枢はおへその真横、左右に指幅2本分の位置にあります。大巨は天枢より指幅2本分下にあります。関元は「任脈」という体の前面の中心線上にあるツボで、おへそから指幅4本分真下にあります。
刺激はお灸がよく効きます。おなかのツボのいいところは、一人でもツボに正確にお灸をすえられるところです。たるんだおなかを突き出して歩くような姿勢のかたは、これらのツボ刺激を試してみてください。
(アスカ鍼灸治療院院長 福辻鋭記)