背骨は腰のあたりでゆるやかに前弯し、骨盤は地面に対して30度ほど前傾しているのが自然な形ですが、腰痛持ちの人は腰椎の前弯が強まり、骨盤の傾斜角度も大きくなっていることが多いものです。そこで睡眠中に腰を休めるには、腰椎の前弯をとり、骨盤の傾斜を減らすことがポイントになります。
寝る前など、うつぶせになって本を読むかたがいますが、この姿勢は腰椎のそりが強まり骨盤の前傾も大きくなるため、腰にはよくない姿勢です。そのまま寝入ってしまうことがあればなおさらです。あおむけになって背筋や両足を行儀よくピンと伸ばして寝るのも、また、腰がだるいからと腰の下に枕やクッションを当てて寝るのも、腰椎のそりを強めるのでおすすめできません。
腰痛の予防や解消によいのは、脇腹を下にして横向きで寝る「側臥位」です。それも膝を曲げて背中を丸めかげんに横になれば、腰椎の前弯がとれて楽に休めます。この姿勢は腰をいたわり、腰痛を改善するのにいちばんおすすめです。
(日本医科大学名誉教授 石田 肇)