腰痛に大きく影響するのが寝具です。私たちは一晩眠る間に30~40回も寝返りを打ちますが、やわらかいマットレスやふかふかの布団ではそのたびに不必要な力を使うので、睡眠による疲労回復効果が半減してしまうほか、腰にもよくありません。
やわらかい寝具にあおむけになると、背中と骨盤が沈み込むため、背骨がW字形になり、腰椎の前弯を強めてしまいます。また横向きに寝れば、側弯といって左右への背骨のゆがみが生じます。さらには寝返りを打つとき、背骨が沈んでいるために腰をひねることになり、ギックリ腰を起こすことさえあります。腰をいたわるには、比較的かためのマットレスや布団を用いるのがおすすめです。あおむけに寝たとき、おしりが2cmほど沈む程度のかたさがあり、通気性、吸収性、保湿性のよいものを選びましょう。また、頚椎に始まる背骨に負担をかけずに眠るには、9~10cmほどの高さの枕が理想です。
(日本医科大学名誉教授 石田 肇)