「体の冷えは、不健康をつくり出す最大の要因」、そういってもよいほど、冷えは人体に大きなダメージを与えています。さらに体の芯の冷えは、腹部の中心部を緊張させ、中年以降のギックリ腰の原因になります。レントゲンを撮っても異常が見つからないのに腰が痛い。このような人はまず体が冷えているといってよいでしょう。
体から冷えを遠ざけるのが足湯です。炎症性の疾患がある、かぜをひいて高熱があるなどの場合を除き、足湯は老若男女だれにでもできる健康法です。
体の芯に残った冷えをとるには、いわゆる全身湯よりも足湯のほうが適しています。「第2の心臓」と呼ばれる足には、体じゅうを回ってきた血液を心臓へ向けて送り出す役割があります。足をあたためれば、十分にあたたまった血液が全身をめぐることになり、効率よく体の冷えをとることができるのです。
足湯のやり方は、まず深めの容器に38度くらいのぬるま湯を入れ、両足をお湯につけ、そのままの状態で少しずつさし湯をしながら42~43度まで上げていきます。時間は最低でも20分以上で、体がひどく冷えているときや、かぜをひいているときなどは、80分を目標にしてください。余裕があるときは、足湯をしながら左右両わきの体温をはかってみてください。体の左右は温度が1度以上違うことも少なくありません。温度差があれば、低いほうの側の足を余分に足湯して体温をそろえましょう。骨盤のズレを調整する効果もあります。
足湯を40分以上つづけていると、ドロドロした感触の汗が出てきます。これはアポクリン腺という汗腺から分泌される汗で、体内にたまった毒素が含まれています。足湯は単に体をあたためるだけでなく、体内にある毒を外に出してくれる効果もあるのです。
足湯がもたらす効能は、まず冷えがとれて新陳代謝が活性化され、各臓器の働きが活発になることです。冷え性や生理痛など、不快な症状の改善、さまざまな病気の予防も可能になってきます。また、美容に対する効果もあります。皮膚の新陳代謝が活発になり肌がきれいになる、便秘が解消されて下腹部のたるみがとれるといった効果のほか、腎臓の機能が上がり余分な水分が効率的に排出されるので、顔のむくみもすっきりととれます。
足湯によって冷えをとり全身をゆるませることは、精神的なリラックスにもつながり、ストレスの解消にもなるでしょう。
(アスカ鍼灸治療院 三枝 誠)