足を支配している神経は、背骨の中を通っている神経の束が分かれたものです。背骨の下のほうにある第4、第5腰椎と第1仙骨から出ている神経の枝が、足のほぼ全体を支配しているのです。このため、椎間板ヘルニアなどになると、この神経が圧迫され足のしびれや筋力低下などを起こすことがあります。整形外科医は腰痛の患者さんを診るとき、まず足を調べます。足のどこに異常があるかによって、腰のどこが悪いかを推定できるのです。
足はこのようにして神経を介して腰と密接に関係しています。そこで逆に足にいい刺激を与えてやれば、腰痛を改善する効果が期待できます。私は、患者さんの腰痛治療や予防法のひとつとして「青竹踏み」をとり入れています。青竹を踏むことで足のうらを刺激するだけでの簡単な方法ですが、なかなかの成績を上げていて、みなさんに喜ばれています。青竹踏みは腰痛の回復が早まるばかりでなく、ギックリ腰などの再発予防にも役立ちます。
その踏み方ですが、効果的な方法が二つあります。一つは足の趾(ゆび)のつけ根のふくらみを青竹の頂点にのせて、かかとをぐっと床に押しつけたまま、左右交互に足踏みをするやり方です。これはアキレス腱をよく伸ばし、骨盤の角度を矯正するのに効果的です。膝をまっすぐに伸ばし、足先をわずかにそらせる形で青竹踏み動作を繰り返してください。
もう一つは、足の趾のつけ根を青竹の頂点にギュッと強く押しつけて、趾を曲げそらせるなどして、趾やつけ根を十分に刺激する方法です。この動作は足の趾を鍛え、動きを柔軟にするので、腰に無理のかかる不自然な姿勢をとったときなどにも体のバランスが保たれ、腰を痛めにくくします。
(城南病院院長 石塚忠雄)